感想(ネタバレあり)
内政系なろう小説である本作。
第1巻では戦闘シーンゼロという荒業を見せてくれましたが、第2巻は戦闘がメイン。
前半はエルフリーデン王国内の内戦が描かれ、後半はエルフリーデン王国に侵攻してきた外敵「アミドニア公国」との戦争が描かれています。
なろう小説原作の作品だと一方的な戦いになることが多いですが、本作もその傾向が強いです。
しっかりと犠牲が出ている点も記述しているところは評価できますが。
個人的には戦闘シーンよりも各キャラの思惑や本音が描かれるシーンの方が面白かったです。
「ざまぁ」もありましたし。
第1巻の感想記事を読みたい方は以下のリンクをご利用ください。
【ラノベ】現実主義勇者の王国再建記第1巻の感想(ネタバレあり) 「国の立て直しが急務だけど前途多難」
内戦の真の目的
前国王の禅譲で国王に就任したソーマ。
そしてソーマは数々の改革を行い、エルフリーデン王国の膿を出しきろうとします。
その結果、不正を働いていた貴族たちは陸軍大将としてにらみを利かせるゲオルグ・カーマインの元に結集します。
ゲオルグ自身、ソーマに反抗的であり、そのゲオルグに空軍大将であるカストール・バルガスも同調し、エルフリーデン王国の内戦が始まることに。
ただ内戦を引き起こしたゲオルグにはある目的がありました。
それはソーマの改革に呼応して国内の不正貴族を一掃すること。
ゲオルグが反乱を起こすことで、不正貴族がゲオルグの周りに集まるように仕向けたのです。
まあ、その目的は崇高であると思いますが、もうちょっとやりようがあったと思いますけどねえ。
現に内戦で陸軍や空軍に犠牲者出てますからね。
不正貴族一掃するなら内乱起こさず、ゲオルグの元に結集した段階でゲオルグ自身が不正貴族たちを拘禁すれば問題なかったでしょうに。
一応隠し資産云々という理由で内戦起こすしかなかったというような記述ありますが、結局第3巻で表に出ない獅子身中の虫のような貴族たちを暗殺してますし。
その辺の整合性をもうちょっと頑張って欲しかったですかね。
その一方、ソーマが工夫して戦うところは良かったです。
少ない戦力をやりくりして戦うのはなろう小説の醍醐味。
その上でチートに頼り過ぎず戦うのは評価できるかと。
アドミニア公国軍殲滅
内戦のどさくさに紛れてエルフリーデン王国の領土を掻っ攫おうとしたアドミニア公国。
しかし作戦は失敗します。
理由はソーマやハクヤの術中にハマったから。
さらにエルフリーデン王国の逆侵攻で公王であるガイウスが戦死、公都「ヴァン」の陥落してしまいます。
敵の総大将討ち取って、公都まで落とすってちょっと戦果多過ぎ。
まあ、それが次巻で帝国の介入する口実になるので、作者さんがわざと戦果を多くしたのでしょうけど。
しかしガイウスは本当に脳筋ですねえ。
よくこんな奴が公王としてアドミニア公国を運営できたと思いますわ。
娘のロロアや財務官僚が頑張ったんでしょうねぇ。
まあ、その結果、アドミニア公国は半壊したのですから、可哀想すぎます。
あとガイウスの最期、何かガンダムのドズルザビを彷彿とさせますねぇ。
自分は殿軍となって見方を逃がす、そして最後まで戦いを止めない。
まさにソロモンでガンダム相手に戦い続けたドズルです。
国王としての義務感とヒロインたち
国王に長く留まるつもりがなかったはずのソーマ。
ところが今巻では国王としての義務感とが出てきたように思えます。
ただそれをはき違えているような感じもありますけどね。
国王は国と国民を導くのが責務。
国の勝利のために自分の命を晒すのは国王としてどうかと。
自分の犠牲が国のためになると考えたのでしょうけど、そんなことするからリーシアたちがソーマを心配するのですよ。
まあ、新米国王としていろいろ経験値を稼いでいる最中なので、こういうことを糧にして名君になっていくというストーリーなんでしょうけどね。
あと今巻からヒロイン戦争に参戦したカルラ。
カストールの娘としてソーマと敵対して最終的に奴隷になりますけど、何か今のところ一番美味しい位置にいるように思えます。
ソーマは他のヒロインとも結構打ち解けていますが、国王としての苦悩みたいな話を真っ正面からしたのはカルラ相手の時だけ。
自分の悩みを言えるのはそれだけ信じている証拠ですからね。
奴隷の首輪をカルラがはめているということもあるでしょうけど、他のヒロイン推しの方たちは気が気でないかも。
現実主義勇者の王国再建記第2巻を読み終わって
アドミニア公国との戦争もほぼ終わり、一息つけそうと思ったら、次は帝国の介入ですか。
次巻は外交パートの話の比重が増えることになりそう。
ソーマは帝国相手にどんな手を打つのか?
次巻も楽しみです。
第3巻の感想記事はこちらから。