感想(ネタバレあり)
この第10巻は辛い展開です。
特に主人公のベル君に感情移入しながら読む方には。
ベル君本当にバカです。
でもバカだからこそみんなから愛されるし、仲間達がベル君のために頑張る。
今時打算なしで頑張る主人公って頑張る主人公って珍しいですからねえ。
今巻ではベル君以外で目立っているのがフェルズとディックス。
特にフェルズが結構大きい役割を果たします。
フェルズがいなければたぶんベル君は精神的に立ち直ることできなかったかも。
あとディックス。
こっとは正真正銘の悪役。それでいて強い。
アポロン・ファミリアとヒュアキントスなんかも悪役って感じが強かったですけど、ディックスと比較するとヒュアキントスなんて甘い甘い。
先祖の血の呪縛に囚われて可哀想って印象もなくはありませんが、欲望に忠実過ぎて可哀想って気持ちはすぐに飛んでいきます。
第9巻の感想記事を読みたい方は下のリンクをご利用からどうぞ。
【ラノベ】ダンまち第9巻の感想 「ウィーネとの出会いと別れ」
ゼノス暴走
喋るモンスターであるゼノス。
ヘルメスファミリアの追手から逃れたイケロスファミリアの団長ディックスは、ゼノスのことを諦めていませんでした。
そしてゼノスのある一団が襲われ、ウィーネがディックスの捕らわれることに。
この辺は王道展開ですね。
薄い本では当然「ぐへへ」展開するところですが、そういう展開の可能性がほぼゼロになるような記述をするところはさすがです。
その代わりゼノスの1人が犠牲になりましたけど。
ウィーネが捕らわれたことを知った当然他のゼノスたちは激怒。
ウィーネを救うべくある行動に移ります。
それが18階層の街リヴィラの襲撃。
ウィーネを捕らえたヴィックスの仲間がリヴィラで治療を受けていたのが原因ですが、ゼノスのリヴィラ襲撃がギルドを動かすことになります。
それが討伐隊の編成。
ゼノスが関わっていることを察知したウラノスは、ゼノスの秘密を知っているガネーシャ・ファミリアに討伐隊を編成させます。その中にベル君も加えることに。
ヴィックス達がウィーネが捕らえたことにより、なし崩し的に状況が悪い方向へ。
でも今度さらに悪い方向に突き進んでいくんですよね。
読んでるだけで暗くなっていく気分です。
ベル君の成長をリューさんが肌で感じる
討伐隊に加わったベル君。
そしてそのベル君を護衛するべくアイシャとリューさんが同行することに。
全部ヘルメスのお節介ですが、アイシャにしてもリューさんにしてもベル君の護衛はまんざらでも無い様子。
特にリューさんは今回ベル君の成長を肌で感じるようになります。
成長って冒険者としての成長ですからね。
リューさんはベル君の見方がだいぶん変わってきたようです。
以前は恩人であるシルの想い人って認識でしたが、今はちょっと気になる冒険者って感じ。
まだデレるまでは行ってませんけど、この段階でリューさんも将来的には落ちるだろうなぁという感じはしておりました。
ちなみにリューさんがそうなるのはまだ先のお話です。
クノッソスとダイダロスの血の呪縛
ディックスがゼノス狩りをする理由。
それがクノッソスという建造物にありました。
ダンジョンを覆うようにつくられたその人造神殿はディックスの先祖である建築家ダイダロスが作り始めたもの。
ダイダロスの系譜の者はその血の呪縛によりクノッソスの建設にまい進してきました。
設計図はダイダロスが残しているので子孫たちはそれに従って作ればいいだけですけど、問題はその資金。
普通だったらダイダロスが莫大な遺産を残してそれで子孫たちがクノッソスを作っていくというパターンになるでしょうけど、残念ながら建設費は子孫たちが自分達で何とかしなければならない。
そこでディックスが目を付けたのがゼノスたちだったという訳。
ディックスがゼノスを狩るのは金目的。
それもクノッソスを建設するための資金にするために。
これだけだったらディックスも可哀想という感じになりそうですけど、そうはなりません。
ええ、デイックスは本当に屑でした。
どういう風に屑なのかは是非ご自身でこの第10巻を買ってご確認ください。
さてディックスと1対1で戦うことになったベル君。
主人公補正があればディックスなんて…と都合よくは進みません。
デイックスはレベル5の冒険者。
残念ながらレベル3のベル君ではゼノスを狂わす呪詛を使って弱体化しているデイックス相手でも歯が立たないのです。
ただ孤軍奮闘するベル君に感化されたゼノス達が呪詛を打ち破りベル君に加勢することに。
でもここでデイックスが置くの手を出します。
それがウィーネ。
デイックスはウィーネの額の宝石を奪い、ウィーネを暴走させます。
さらにウィーネが思い通りに動かないウィーネに呪詛を掛けて地上に向かわせてしまったのです。
ウィーネのことを知らないオラリオの人々や冒険者がウィーネを見たらどうなるか。
ベル君やフェルズはウィーネを後を追い掛けます。
普通ならここでディックスは窮地を脱したと思うでしょ。
いいえ、屑には屑らしい最期が待ってました。
ベル君が苦戦したデイックスを簡単に殺害したのは?
ある意味ベル君にとってのメインヒロイン兼ライバル的位置にある者かもしれません。
神様でも冒険者でもない者。
ベル君が汚名を着ることに
地上に出たウィーネとベル君。
そこで運悪くロキ・ファミリアと遭遇してしまいます。
ロキ・ファミリアとの戦闘になったゼノス達。
ここでベル君はウィーネを守るためにあることをロキ・ファミリアに宣言します。
ベル君が言いそうにないその言葉。
でもこうするしか…。
ウィーネを守るためなら汚名を着てもいいと。
傍から見たらベル君の決断は馬鹿としか言えません。
しかしその馬鹿な決断があったからこそ、ゼノスたちは再びベル君を信じようとなったのです。
そしてフィルズもゼノス達に味方する踏ん切りが付いたのだと思います。
あとはウィーネを助けて一件落着…とは行きません。
まさか最後の最後でウィーネが…。
でもフェルズのおかげで最悪の事態は何とか回避できました。
結構チートな感じがしますけど、ここでウィーネがあのままだと抗議の手紙とかいっぱい来そうですからね。
最悪の事態は免れた。
しかしゼノス達とロキ・ファミリアの戦闘でオラリオには少なくない被害が出ました。
当然ベル君にも非難の目が。
ベル君を信じたいエイナ。
でもベル君はエイナにも本当のことを言いません。
エイナはベル君が汚名を着たことを理解しますが、同時に自分に本当のことを言ってくれないことがショックだったようです。
ベル君ヒロインズの中で今一つ積極性というか、一歩踏み出してなかったエイナ。
今回のことが転機となってベル君に惚れるようになるのですかねえ。
まあ、それは次巻のお楽しみということで。
終わりに
リトル・ルーキーともてはやされたベル君。
しかし今その名声は地に落ちました。
これもベル君の決断の結果。
仕方ありません。
もちろんこのままでは終わりません。
次巻以降しっかり汚名返上の機会がやってきますよ。
次巻第11巻の感想記事はこちらから。