感想(ネタバレあり)
テオとシルーカが
両想いであることが分かった一方、
マリーネとミルザーの攻撃によって
ヴィラールが戦死してしまった前巻。
今回はその続きからになります。
アルトゥーク条約成立で新勢力が旗揚げ
ヴィラールが戦死し、
アルトゥーク伯領は同盟側のものと
なりました。
そしてアルトゥーク伯領は
今回の戦争で功績があった
ミルザーに恩賞として与えられることに。
ゲリラ戦で領地経営が上手くいかず
ミルザーは自らの部下達に
聖印を分け与えて君主し、
アルトゥーク伯領の経営を始めます。
しかしヴィラールが
善政を敷いていたのでしょう。
アルトゥーク伯領の領民は
ミルザーを領主と認めようとしません。
それどころか
オイゲン男爵など
ヴィラールの従属君主だった人たちの
ゲリラ戦を助ける始末。
これにはさすがのミルザーも
頭が痛い様子。
どれだけ戦争に強くても
領地が安定しないとジリ貧に
なっていきますからね。
アルトゥーク条約が成立
一方、
アルトゥーク伯領付近に領地を持つ
連合の君主たちは大同団結し、
新たにアルトゥーク条約の成立を宣言します。
これは大工房同盟、幻想詩連合に
属さないれっきとした第三勢力。
そしてその盟主には
セーヴィスとフォーヴィスを治める
ラシックが就任します。
ラシック自身は
テオに盟主になって欲しいところですが
爵位が低く、
他の君主たちが認めようとしないのです。
そのため、
テオやラシックたちが事前に話し合った結果、
ラシックが盟主になることになった訳。
しかしテオが十分な戦果を挙げれば
今はテオを認めていない君主たちも
テオの盟主就任を認めるようになるはず。
そのためには
システィナ島遠征が急がれます。
戦いは続く
新しく誕生した条約軍。
大陸の武力統一を目指す同盟は
その存在を認める訳にはいきません。
テオたちにまた危機が
アルトゥーク条約軍を確固撃破するため、
同盟は条約軍の領地へ侵攻を開始します。
まずはミルザーが兵を率いて
ヴィラールの弟セルジュが治める
レガリアに侵攻。
さらにハマーンには
エーリク王の娘ウルリカが侵攻し
沿岸を荒し回ろうとします。
そしてマリーネは
ヴィラール討伐の間に奪われた
ブルタヴァを再奪取するために侵攻を
開始します。
ちなみにヴァルダヴァを奪ったのは
テオとシルーカ。
いつの間にか爵位も男爵に
なっています。
ただ男爵になっても
到底ヴァルドリンド騎士団と
戦うには戦力が足りません。
守るテオの軍勢は3000あまり。
また厳しい戦いになりそうです。
それに今回は
ラシックがレガリア伯のセルジュの増援に
出陣しているため、
味方の援軍が期待できませんからね。
黒幕は魔法師協会で確定?
そんな中、
マリーネとテオの会見が開かれます。
マリーネ自身、
テオに興味を持ったいたようで
戦う前に会ってみたかったのです。
そしてこの会見で
テオ自身も
大講堂の惨劇の裏には
パンドラ、そして魔法師協会が
糸を引いていると考えていることが
わかりました。
アルベルトやシルーカがいる前で
そんなことを話していいのかよ
と思わずにはいられませんが
この二人も魔法師協会のやり方に
思うところがあるのかもしれませんね。
テオとシルーカの仲は周知の事実?
さて会見を終えて
自分の城に帰る途中、
テオはシルーカにキス。
城兵の見えるところでやるなんて
テオって結構大胆。
でも城にはアイシェラは
いないのでしょうかねえ。
いたらテオが八つ裂きにされるかもw
と思ったら
アイシェラいるじゃん。
だったらなぜアイシェラは
テオに罰を与えなかったのでしょうか?
もしかしてこれまでの
テオの活躍を間近で見て
シルーカに相応しいと考えたのかも。
さて翌日から
ヴァルドリンド騎士団との戦闘が
始まります。
ただしヴァルドリンド騎士団の先陣は
テオに領地を奪われた
ヴァルタバの元領主たち。
テオに簡単に倒されるような
奴らですので
テオ達の作戦通りに
時間稼ぎのためにいいように
使われてしまします。
流石に業を煮やした
ヴァルドリンド騎士団側は
ようやく主力を投入。
これにはテオ達も苦戦し
多くの犠牲者を出します。
あと1日持つかどうか?
かなり絶望的な状況。
しかしここで奇跡が起こります。
何と北方で
連合のルクレール伯爵が
金に糸目をつけず大量の傭兵を雇い、
同盟領へ侵攻を開始したのです。
本国を奪われては一大事、
そのためヴァルドリンド騎士団は
本国に撤退していきます。
おそらくヴァルドリンド騎士団も
しばらくはテオ達を討伐する時間も余力もないはず。
ようやくシスティ島に向かう
チャンスがやって来たましたね。
絶望の島で反撃ののろしを上げる
自分の実力を示すために
テオは
シルーカ、プリシラ、アイシェラ、
ア―ヴィン、エマ、ルナだけを連れて
システィナ島に向います。
システィナ島に上陸
途中までは楽しい船旅でしたが
最終的には船と物資を失い
命からがらシスティナ島に上陸します。
シルーカは
圧政に苦しむ民衆が
テオに味方してくれると
思っていたようですが
ロッシーニ家の支配は巧みで
絶望と恐怖を叩き込まれた
民衆は誰も味方しようとしないのです。
それどころか
テオに関わるとロクなことにならないと
完全に厄介払い扱い。
そしてテオたちは
テオの生まれ故郷の村へ。
久しぶりの生まれ故郷、
そして幼馴染との再会。
でも幼馴染はロッシーニ家の3男坊に
買収されており、
テオに危機が訪れます。
しかしテオは幼馴染が
罠を張ったことに気付いていました。
それでもなお幼馴染の誘いに乗ったのは
幼馴染を守るため。
もしテオが誘いに乗らなかったら
幼馴染は殺されたでしょうし、
生まれ故郷の村の人々も
やはり殺されたことでしょう。
でもテオもむざむざ殺される訳には
いきませんし、
死ぬとは思っていません。
テオには仲間がいますから。
それに頼りになる契約魔法師も。
3男坊とヤーナには勝利したけど
ロッシーニ家の3男坊と
このシスティナ島に逃げ込んで来た
ヤーナの攻撃に対し、
テオは果敢に応戦。
そしてシルーカが村民たちの
説得に成功したことで
ロッシーニ家の軍勢と互角に
戦えるように。
最後は幼馴染の命を掛けた働きにより
ロッシーニ家の3男坊を討ち取り、
テオたちの勝利です。
ただこの勝利だけでは
まだまだ絶望と恐怖に支配されている
民衆の蜂起は期待できません。
もっと民衆に希望を持たせることが
できることをしないと。
そこでシルーカが目を付けたのが
魔境の解放。
一番分かりやすく
民衆のプラスになりますから。
魔境の解放に向かうことになるテオ達。
第6巻の本文はここで終了です。
読んだ感想
この6巻は前半が戦記物、
後半はファンタジーという構成で
内容がガラッと変わって
かなり楽しめました。
この6巻では
出てきるキャラクターが
みんな上手くいかない感じでしたねえ。
ミルザーは
アルトゥーク伯領の支配が上手くいかないし、
マリーネは
軍勢を撤退させなければいけないし、
ラシックは
自分の名声が大きくなり過ぎてテオに従属できなし、
テオは
システィナ島に来たのは良かったけど
味方が全然増えないし幼馴染は死んじゃうし。
でもだからこそ
面白いのですよね。
これがなろう小説だったら
こんな上手くいかないことって
ほとんど記述されないでしょうから。
次巻はシスティナ島攻略の後編。
テオ達は無事ロッシーニ家を倒すことが
できるのでしょうか?
続きが気になります。
マリーネとアレクシスの恋の話
私は電子書籍版を購入したのですけど
本編の後に外伝として
マリーネとアレクシスの出会いの
話が付属していました。
マリーネがエーラムに留学して
間もないころ、
ある男性と出会います。
それがアレクシス。
マリーネの姿を見たアレクシスは
マリーネに一目ぼれ。
熱烈なラブレターを送ります。
一方マリーネの方は
アレクシスに対する印象が最悪。
最初はアレクシスからのラブレターを
無視していましたが
一度それを読んでみると
アレクシスに興味を持ち始めます。
その後の展開は
ある意味お約束。
本編ではマリーネは
アレクシスを切り捨てた感じですが
最後にはどうなるか
わかりません。
しかしこの外伝を読んだせい
余計にマリーネとアレクシスには
幸せになって欲しいと思いましたわ。
第6巻の感想はこちらからどうぞ。