感想(ネタバレあり)
原作小説の最後がちょっと炎上したアルスラーン戦記。本作はその漫画版になります。
ただ原作に忠実という訳ではなく、例えば第1話は原作にない完全なオリジナル。主人公であるアルスラーン殿下はルシタニア人の少年と出会いますが、この少年、実は…。
原作小説のファンの方も十分に楽しめる内容となっております。
父母から冷遇されるアルスラーンが可哀想
本作の主人公であるアルスラーンは大陸航路で栄華を誇るパルス王国の王太子。つまり次期国王になる人物。
でもなぜか父であるアンドラゴラスだけでなく、母であるタハミーネからも冷遇される毎日。
まあ、父親が冷遇するのはわかりますよ。
我が子であってもいつ寝首を掛かれるかわかりませんから。でも母親が冷遇するのは意味わかりません。
仮にアルスラーンに弟とかいるならば、その弟可愛さにアルスラーンを目の仇にすることはわかりますけど、アルスラーンは1人っ子ですからね。
もちろんこれには秘密があるのですけど、この第1巻の段階ではわかりません。アンドラゴラス夫婦とアルスラーンの間の秘密については先の巻を読みましょう。
さて父母から冷遇されているアルスラーンですが、それでも父母に認めてもらおうと頑張ります。健気です。ホント健気すぎます。
健気すぎてちょっとやり過ぎな感じもしない訳ではありませんけど、この健気さというか優しさがアンドラゴラス以外の人達を引き付けて離さないのでしょう。
まあ、アンドラゴラスが強権政治を敷いているのでそれへの心理的な反発で優しいアルスラーンに傾斜する人間が多いだけかもしれませんけど。
アトロパテネで大敗北!!ここからアルスラーンの苦難が始まる
第1話ではアルスラーンやその周辺の人物の紹介やパルスのことが描かれました。
そして2話から4話に掛けては、パルス王国を侵略しようとする西方の国家ルシタニアとの戦いがメインとなります。
このルシタニア、イアルダボート教という宗教を信じる国家ですが、イアルダボート教は西方教会と東方教会があるとのことで、まんまキリスト教徒わかります。
ということはルシタニアは神聖ローマ帝国で、マルヤムがビザンツ帝国、そしてパルスがイスラム系の王朝って感じでしょうか?
だからイランでこのアルスラーン戦記が人気だったとニュースになったりしたのですね。
それはともかく、アトロパテネで対峙したパルス軍とルシタニア軍。戦力ではパルス軍が絶対的に有利だったのですが…。
パルスの敗因はたくさんあります。アンドラゴラスの強権、ある部下の報告を信用し過ぎたこと、有能な家臣の兵を取り上げた、ルシタニアを甘く見た、とある者たちの暗躍など。
まあ最終的には「全部アンドラゴラスが悪い」という結論になるのですけどねw
さてそのアンドラゴラスのとばっちりを受けた感のある我らが主人公アルスラーン。でもまだ天はアルスラーンを見放しておりませんでした。
一騎当千の騎士ダリューンが間一髪のところでアルスラーンの救出に成功します。このシーンは英雄がヒロインが救うがごとき感じで、アルスラーンは完全にヒロインポジションですわ。
この漫画版のアルスラーン、容貌からして中性的なんですよね。そして最初の方は優しさに溢れすぎているから余計にアルスラーンが女性みたいに見えてしまいます。
ショタ好きな方には堪らないかも。
もちろんストーリーが進むについて、アルスラーン殿下も少しづつ擦れていくので、いっぱしの君主の風格が備わっていきます。
ただそれがプラスの働くのは絶対に主人公補正なんでしょうね。
擦れても人をあんまり疑いませんから。
さてダリューンの救われてアルスラーン。王都に戻る必要がありますが、パルスの敗北で主要行路はルシタニア兵でいっぱい。
やむなくダリューンの進言に従い、ダリューンの親友であるナルサスに元へ。
そしてこのナルサスというのがまた変わり者で…。
第1巻はナルサスとアルスラーンが対面するところで終了です。
アルスラーン戦記の見どころ
漫画版アルスラーン戦記は本格的な戦記物です。
そのためちょっとグロい描写もありますが、戦争というものはそういうものなので仕方ありません。
きれいごとを言ってもアルスラーンがパルスを再興するには戦争に勝ち続け敵味方の血を流す必要があるので。
その一方いろいろな出来事を経験することで優しいだけでどこか中性的だったアルスラーンがどんどん君主の風格を備えていきます。
少年が心身共に成長して自分の運命を切り開いていくストーリーは重厚でどんどん先が読みたくなります。
この手の展開が好きな方には十分楽しめる作品だと思います。
そして漫画版を読んだ後は続きが気になり、原作小説に進む人もいるでしょうけど、原作小説は漫画版以上にハードですので、心して読むようにしましょう。
また漫画版アルスラーン戦記はアニメ化もされており、喋って動くアルスラーンたちの雄姿を見たいならこちらもお勧めです。
さて漫画第2巻はアルスラーンが放浪しながら仲間がどんどん集まっていくお話になります。
次巻も楽しみです。